母と携帯 |
何か有った時の為にと、持たせていた携帯電話の使い方をすっかりお忘れになられていらっしゃいました。
一通り、おさらいして「ふんふん、あっそうじゃったね。思い出した」と母。
「じゃ、今から掛けるからとってね」と私。
「あいよ」と母。
「ピロロロー、ピロロロー、ピロロロー、ピロロロー、ピロロロー、ピロロロー、ピロロロー」「.....」
「とれよ!」と私。
「ボタンが無いじゃろ?どこにあるんじゃったかいねー?」と母。
「開くのです、まず、パカッと開くのです!ねっボタンあるでしょ」と私。
「あーっはっはっ、機械は苦手なんちゃーね、昔からあんたも知っちょろうがね」と母。
「じゃっもう一回鳴らすよ」「ピロロロー、ピロロロー」
「パカッ」「はい、もしもし...もしもし....?あっボタン押すんじゃッた。」
「ブチッ」
「切るなーーーー!」
「ほらっこの受話器が上がってる絵がついちょるボタンを....うーん、解った、開いたらそのまま会話出来るように設定すれば良いんじゃろ」と方言混じりの私。何だかんだで会話に成功。
仕事に戻った私の所に母から着信!「おっ凄いじゃん、自分だけで電話かけられたんだ」とつぶやきつつ、
「はいもしもしぃー、マスターしたじゃん、お見事です、もしもし、もしもし?..........」
受話器の向こうから「あら?何じゃろ?聞こえんねー、もー教え方が丁寧じゃないんじゃね、もしもしーー」と母。「もしもーーーし」と私。「ちっちゃい頃からこうなんよね、この子は、がさつなんよね....」とかぶつぶつ言ってるの聞こえてます!「何でもっと分かりやすく教えられんのじゃろーか、困ったもんじゃねぇ、なーんも聞こえん、故障しちょるんかねー?」とか言ってるの聞こえてます!
「ばーちゃん、困っちょるんはわしじゃっ、耳にあててくれーや!確かにそれは小さくて口元に届かんようじゃけど、ぜ〜んぶ聞こえちょるんよ〜」「もしもーし、も..」
「ブチッ」
「切るなーーーーーーー! 」
でも、携帯のカメラだけは使いこなしている母、流石もと写真屋の女房小さな花を見付けて撮ったんだね。