猫の額 |
そこに昔から気になってた店がある。
『猫の額』とゆうお店なんだ。
何を売ってるのか、何の店なのかも分からない。
打ち合わせの帰り、駅から徒歩で帰る途中その路地に差しかっかた。
ふらふらと店の前まで行ってみた。
猫が数十匹はいるんだろうな、である。
もし、ここが小さなレストランならば、運ばれた料理が冷めるのをじっと傍らで待つペルシャ系の猫が居てナプキンなんか時々かさかさと触ってるだろうし、見慣れない客の匂いを確認する三毛猫が足下で3匹で尻尾立ててるだろうし、肥ったアメショの雑種がどうやって昇ったのか不思議に感じる様な棚の上から退屈そうに見降ろしているだろうし、そういえばマスターはさっきからずっと向こうを向いたままでコーヒーをたてて黙っているだろうし、「あの、たばこ吸っていいですか」と聞いた瞬間ずさしゃしゃーっと猫達はどっかに逃げてマスターの肩はビクッと震え深い溜め息と「.....も、やっぱり違ったのか」とか謎めいた言葉を呟くに違いない、である。
意を決してドアを開けた。
明るい店内には猫関係の可愛いグッツやイラスト、油絵、ぬいぐるみ、アクセサリー、猫シール、なめねこ、などが所狭しと並んでいた。
ある意味、私は自分の妄想以上にぞくっとした。
わし、場違いなとこにいる。