庭木VS庭師 |
先日、買ったばかりの高枝切り鋏を振りかざし一人で挑戦し卑怯な毒虫に指を齧られ左手ぱんぱんにして医者に行き青空を泣き腫らした目で見上げた私ではあるが今日は違う!
庭師を生業とする従兄弟の『あつのり君』が、八王子から駆けつけて来てくれるのだ!
庭師『あつのり君』登場、あらかた木々を眺め「ふっ」とにやりである。
玄人の「にやり」である。
彼の行動は早い、奥の一番でかい木に狙いを定め作業を開始した。
てきぱきとシートを広げ脚立を立て、使い慣れた道具を腰に巻いて迷い無く切る。
生い茂った枝に分け入り素早く判断し、のこぎりをふるう。
バサバサギコギコーと切る、落とすシートを移動。
『ザ・庭師』の無駄の無い業に為す術も無い我が家の毒虫使い樹木。
パッチンパチパチギーコギコパッチンパチパチギーコギコあっとゆう間にすっきりさ。
芽を吹いてない無駄な枝を切られ観念した木々達はまるで散髪屋でうつらうつらと眠りに誘われてでも居る様に秋風に揺れている。
見とれていた私は散髪屋の新人さんの様に落ちた枝や枯れ葉をかき集める。
「これ、どうします?良い木なので残しましょうネ」とテキパキ『ザ・庭師』。
あれほどの強敵と見えた庭木が畏まって並んでいる。
んで、今後の自分たちはどうあるべきかとかひそひそと相談を始めた、庭師『あつのり君』の鋏はこの冬を越えた頃に芽を吹く枝だけを正確に落としたのだ。
『やがて来る冬に備えよ、春を待てと!』
ここまでたったの2時間、しかも落ちる枝をシートの上に落としながら移動し二度手間にならぬよう計算されたプロフェッショナルな作業で殆ど掃除いらずだ!
私は『職人』が好きだ、『職人』の先に芸術があるなら文句は無い。
スッキリした庭を見ながら私も散髪したくなったと言うと『ザ・庭師あつのり君』は驚きの眼で私のはげ頭を凝視した。
『流石の彼にも難しい仕事らしい。』