友が逝った |
訃報だ、嗚呼。
病魔と闘う彼を見舞いに行ったのは、先週の事だ。
最悪の状況の中、笑顔で迎えてくれた彼は「必ず勝ってみせる」と痩せた五体と裏腹に強い眼差しで笑っていた。
ネットで、自分の症状と照らし合わせ病名を確定し今月の初旬に外来を受け即入院となったとゆう。
まったく、彼らしい。
誇り高く燃えるパッションを、静かに静かに熟成させながら行動する男だった。
世界にウイングを広げ人生の意味を挑戦の可能性を常に模索していた。
彼が愛したシトロエンの助手席で議論もした。
特に彼の信仰観は、日本人のそれではなかった。
私は尊敬していた。
初めて会った学生時代、私の作品の弱点を言い当てた。
私はそれを今でも反復しながら作品に臨んでいる。
彼は社長業で多忙を極め、私も自らの挑戦に没頭し疎遠となっていた。
そして、いきなり彼の入院の報を受けた。
かなり重いと聞いた。
励ましに行った。
逆に励まされる程に強く握手をされた。
「痩せただろ」って言われた時、初めて会った二十代の𠀋夫そのものだよって言えなかった。
本当に、そう思ったのに言えなかった自分に腹が立つ。
彼が逝った。
私が見舞った日を最後に昏睡。
眠る様に逝ったと、彼を敬愛する後輩から携帯で報告を貰った。
慟哭。
大丈夫、立ち止まったりしない。
君の友であった事を誇りに思う連中と一緒に歩んで行くぞ。