ある友人の為の似顔絵 |
勿論、まかせてっ喜んで描かせてもらうよ。
...と、描き始めた記憶が蘇った。
地震で棚から飛び出し散乱した原稿を整理している中から10数年前の生原稿を発見したからだ。
めずらしく鉛筆描きのペーパーまで出て来た、しかも描いた順番が分かり面白くて破棄する前にアップする事にした当時を思い出しながら。
最初とても、誠実な人柄の友人の為にラフを描きファクス。
「いや、もっと強さが欲しいんだよね」とか言われたので。
がっつりした顔に真剣さと優しさをラフってファクスした。
「いい感じじゃん、この線でもっと親しみやすい感じで」とのリクエストが来た。
なるほどとか思いながらラフだがペンを入れてファクス。
「あれあれ、なんかこじんまりまとまっててつまんないよコレ」
「もうちょっと、まっとさんらしく内面がにじみ出る感じが欲しかったんだよねぇ」と電話。
なるほど、私は遠慮していたかも知れないなと考えちょこっと本来の似顔絵の両刃の剣的なティストを加えて描きファクス。
「なんですかこれ、気持ち悪いだろ似てるけど」
「似てりゃ良いってわけじゃないんだよね、分かるだろまっとらしくないな」と電話。
私はこの間激しい〆切の狭間で何枚も描いて来ていた、相手も忙しく私も忙しい直接会って表現するべきニュアンスが共有されてない事を反省し後日もう一度白紙から立ち上げようと提案した。
「いや、急ぐので早く描いて」「まっとなら出来るでしょ」的な大信頼の有り難い申し出。
んで.......本当に描きたかったのを描いてファクス。
連絡無い。
これ、よくない?と電話。
「早いね、ファクス確認して連絡する」
連絡無い。
楽しくなって、次のラフ送る。
連絡が無い。
なるほど、まっとらしさに感動して涙で見えないんだなと理解した私は真心を込めて自分でも納得の友人の似顔絵をファクス。
なんか、ボツになったらしい。
良い思い出である。